コーヒービター:25

しばらくイリスと話していた。その中で気まずさとかそういったものはほとんどなかった。
けれどもここでふと思ったのが、彼女はふとした時によく私の所に来る。それに周期性とかはないのだけれども、どこか頻繁に来ているような感覚がある。まぁ別に来ていて悪いとは思わない。むしろ、私としても嬉しい。
とまぁそうこう考え事をしていると、難しい表情をしていたのか
「アヤ、どうしたの?」
と少し不安げに声をかけられた。
「あぁ、なんでもないわよ。……あっそうだ。」
ふと私は思い出し、鞄の中から買ってきたお守りと一緒にお年玉も渡した。
「え…わざわざ私のために…ありがとう。………けどお年玉はわざわざ悪いわよ。」
「勉強頑張ってるんだから、気休め程度だけど。洋服とか何かお菓子に使って。」
「でもなんだかもらいに来ているようで悪いわよ。」
「気にしない気にしない。一応これでもアルバイトしているんだから、お金の面では少し余裕あるんだから。」
少しおばさんくさかったかもしれないけど、案の定渋ってきたので強引に受け渡した。イリスは少し戸惑いながらも喜んでいた。
「アヤ、本当にありがとう。お守り、大事にするわ。」
その時のイリスの笑顔は本当に澄んだ気持ちが伝わってくるようだった。

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