コーヒービター:24
イリスは笑みを浮かべていた。 何故笑みを浮かべていたという表現なのかは、おそらく相当勉強していたのであろう、疲れたような顔に笑顔を作っていたからである。 それを見た私は会話もそこそこにすぐに家に入れて一旦座らせた。そして、ホットココアを作ってイリスに渡した。 「ありがとう、アヤ。」 「うん…本当に疲れてるように見えるわよ。」 イリスは軽く微笑むと 「ちょっと勉強大変だったから。」 「でもちょっとやりすぎってくらいやってるわよ…。別に東大を受ける訳じゃないんだから、気を張りすぎても仕方ないわよ。」 私は優しく諭すように言った。それにしても相当疲れているようなのに、よく私の家にまで来れたと思う。 「うん…わかってるんだけど、今やっている勉強に対して納得がいかないのよ。そうしたら結構やっちゃっていて…。」 「うわわ…なるほど。」 一般的にいう優等生あるいは天才タイプだわ…。本当に凄すぎる。 「……私、高校時代そんなに勉強したかしら…。」 彼女を見ているとまさにそう思えた。