コーヒービター:19
境目をつけようと思った手前どうするもこうにも、何も浮かばない。このまま楽観的になっちゃうのが私の悪いところだと思う。 それから数日経って、困っているときはやっぱり友達に聞くのが一番だと思い、同じ高校時代の友人にメールをした。今は違う大学に行ってる友達で名前はユカ。 名前とかは伏せて、悩んでいる節をメールした。 そして、10分ぐらいするとメールが返ってきた。読んでみると『電話していい?』とあった。だから自分からかけることにした。 「もしもし?」 「あっもしもし、アヤ?久し振りね。」 「うん、ひさびさだねー。」 電話越しにユカの懐かしむ顔が浮かぶ。 「んじゃあお悩みの相談といこうじゃないですか、奥さん。」 「お願いします…み●さん。」 と相変わらずなノリで入ったがすぐに真面目な口調に変わった。 「悩みの内容だけど、相手って本当に女の子なの?」 「うん、そうよ。」 「女の子同士かぁ…私も同性に対するそういう恋愛感情っていうのは実際よくわからないよ。」 「そうだよね。」 当然だろうと私は思った。こういった例はなかなかに珍しいし。 「でも、やっぱりアヤがその子にどう思っているかは別として、酔った弾みでもその女の子がアヤにそういう気持ちをぶつけたっていうのはちゃんと受け取ってあげないとね。」 私は頷いた。 「どういった状況で出会ったとはいえ、友達からよね。結局簡単に言っちゃうと。」 案外普通の答えだった。けど 「ただ、友達から始めたとして、その子のことをちゃんと知ってあげなさいよ。お互いに知り合うことから友達は始まるわ。きっと。」 最後はイリスに似た言い方でアドバイスしてくれた。 それからぐだぐだとは言わないけど、教授がどうだこうだといった話をしてその日の電話は終わった。 「…うん、うん…あはは、そうよねー。………おっとっと、もうこんな時間かぁ。」 「あ、そうだね。そろそろ電話やめとこっか。電話代大丈夫?」 「うん…なんとか。じゃあそろそろ、じゃあね。ありがとうね。」 「どういたしまして。じゃあねー。」 そうして電話を終えた。
ここで新しい人の説明をば
鈴本 由華(すずもと ゆか)…アヤが高校時代にできた友人。明るく、アヤの相談相手になったり、遊び相手になったり。よく鈴木と間違われる。