コーヒービター:15

「で、イリス、なんでさっきあんなことしたの?」
と私が聞くと、イリスは首をかしげ
「…あんなことって?」
と全く覚えていないようだった。多少お酒が入っているせいで思考がおぼつかないようだ。
「あらら…覚えていないようだねー。ほらアヤ、説明してあげなきゃ。」
少しニヤつきながらモモコが言った。さっきのことを思い出すと少し、顔が火照ってくる。
「もう…。じゃあ説明するわね。」
いつも自分ってこういう風にしてやられる側の立場のような気がする。
「…………で、それでイリスがそ、その……キ、キスを…したわけよ…。」
大体の事情を説明した。別に、キスはしたことないわけじゃない。けど、同性とのキスなんてしたことないし、あまりにもさっきの出来事が衝撃的で口ごもってしまった。
そして、一方のイリスの顔を見ると案の定イリスも顔を赤くしていた。無論、酔っているからではない。
「…私、そんなことしちゃったの…?」
とイリスはおそるおそる聞き返してきた。私は頷いた。モモコは笑っている。
「その…ごめんなさい。そんなことをするなんて。」
「いやいや、別に酔っちゃってたんだし仕方ないよ、うん。」
かなり恐縮げに謝ってきたので、少し私も恐縮げになった。言ったとおり、酔ってたし何も他意はない。
「………だったのよ。」
まだ、顔を赤くしてイリスは何か言った。
「え?」
さらに顔を真っ赤にして、白い肌がリンゴのように上気している。

「だから…キス。初めて…だったのよ…?」

「え……」

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どう終わらせようか迷いました。ちょいと書いている自分も恥ずかしい(笑)