コーヒービター:21

家に帰ってから寝て、9時ぐらいに起きると隣の県にある、実家に帰省をした。
電車に20分程度揺られていると、さらに電車を乗り換えて今度もまた20分程度して電車から降りた。
駅から出ると、周辺は相変わらずの風景だった。去年できたばかりのコンビニが寂れた風景に一際目立つ。
駅の近くの道路沿いを歩いていき、途中で路地に入って住宅街に入っていくと少し古めかしいような家々がある。そのうちの一つが私の実家。
「ただいまーあけおめー」
と家に入ると、テレビでの新春特番の音が耳に届いた。容易にこたつでおせち料理を食べつつ、テレビに食い入っている両親と弟の姿が想像できる。
「おぉアヤか。おかえり。」
居間に入ると、父がこっちを振り向いて言った。
「ねーちゃん、お年玉ー。」
新年早々そんなことを弟は言ってきたので、私は拳を作り
「どれぐらいほしい?」
と笑いながら弟に近づいていった。
「て、丁重に遠慮させていただきます…」
そんなやりとりをしてるとお盆にお雑煮を乗せて母親が台所から入ってきた。
「おかえり、アヤ。相変わらずね。」
「そりゃあ夏休みに一回帰省したもの。手伝おうか、お母さん。」
私は母からお盆を受け取ると、とりあえず三人分のお雑煮を置いた。

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