コーヒービター:11
バイトに行ってからはいつも通りのペース。特に考え事もなくシフトをこなした。 「お疲れ様でしたー。」 とりあえず、終わってから深夜1時ぐらいに家に着いた。そのまま疲れ気味の体をベッドにあずけまどろみに落ちていった。 朝になって大学に行き、帰ってきて。バイトに行く日は行って。お決まりのライフサイクルを一週間進めた。 なんだかイリスと会わないと平凡な日々に戻っちゃったな。 そう思いつつコーヒーを飲みながらベランダに出て月と、近くにあるイリスのお家を眺めた。 「月も、あのお家も届きそうで届かない場所にある。何か見えない力で。」 そう私は呟いた。イリスのお家は入ろうと思えば入れるけど、そういうのとは違う。何か見えない力で入ってみたいという興味が削がれている。 なんでだろうね。
第十話 ← 第十一話 → 第十二話
なんでだろう、その子は不思議で何か触れられない気高さがあった。
まだそんな壁をイリスに対してアヤはお持ちです。